04/14/2005

 833時。
 まだ人のすくないオフィスでこれを書いている。
 今朝は寝坊しなかったが、昨晩遅くまで部屋の片づけをしていたので、寝不足である。今日業務中に居眠りしないか心配である。

 出勤時に、気分よくN駅からこのオフィスのあるビルまで歩いてこられる自分を感じる。胸を張って、リラックスした歩き方が気持ちいい。以前の自分はどうだったろうか?胸を張って歩くことができていただろうか?前職のときは、マイカー通勤だったから歩くこと機会自体少なかった。それでも街中では他人がなんだかうらやましく、俺1人が別世界にいるかのような顔をしていた。そして倒れてからは、肩を落とし、居場所がなさそうに街でキョロキョロしていた。

 とりあえず自分が元気なことに幸せを感じた朝であった。

   
 2120時。
 なんてこれを書いていたら、出勤してきた上司のK係長に誘われて、ビル内の喫茶店へ。
 K係長と面談するときはいつもこうだ。
 K係長のオゴりでコーヒーを飲みながら、仕事の話。
 このK係長、人とコミニュケーションをとることが苦手なタイプらしい。自分でも言っていた。
 どちらかというと、1人で仕事を溜め込んで黙々と働く、職人とか技術屋に多いタイプだ。
 結構俺の前で愚痴る。あまりよくないことだとは思うが。
 彼の愚痴は、彼が彼自身に対して言い訳しているように聞こえるのだ。
 まだ俺は入社して2週間しか経っていないが、彼は確実に管理職には向かないように思う。
 しかし、この人が俺の上司なのだ。
 こういう場合、ボスのしわ寄せを食らって部下が苦労するのが典型的なパターンである。
 同部署で係長の下で2年間働いてきたO主任がいる。
 グループ会社からの出向社員である彼は、早く自分の会社に戻りたがっている。
 そんな様子からしても、係長のやり方のまずさが感じ取れるというものだ。
 人格は悪くないと思う。しかしやり方やスタンスがまずいと思う。
 自滅に共連れになるのはごめんである。
   
 会社の商品である地図データベースは国内版の場合年2回の更新をして納品しているのだが、
 国内版に関してはその作業基準や作業手順、検査環境が確立されつつある。
 そんな国内版に対して、確かに現在の海外P室は今年の1月に新設されたばかりの新しい部署だ。
 しかし、少しばかりの海外分の地図データベースは3年前からあるもので、それを年毎に更新して取引先へ納品している。
 いい加減、国内分と同様に手順や基準がドキュメント化されていてもおかしくないのである。
 しかしデータの取得基準書や手順書などはつくられていない。
 K係長とO主任の頭の中にどうしたらやれるかということが入っているだけである。
 そこへきて係長は部下の管理が苦手で、係長、主任共に仕事に熱意はない。
 海外部門については、正式に会社として力を入れていくことが、先日上層部で決定されたにもかかわらず、である。
 この春に中途でいきなり放り込まれた俺には、そんなことは寝耳に水である。
 タダでさえ他業界への転職でいろいろ大変だというのに、それ以前に配属部署ではなにも確立されていないのが現状なのである。
 そして、そこにいる実働部隊のモチベーションも低いのである。
 
 海外経験や英語力よりもバイタリティを買われたというのは、裏を返せばモチベーションの高い人間であると評価されたということだろう。
 そして、会社としては大々的に展開したいにもかかわらずテンションの低いこの部署に、俺はある意味「起爆剤」としてギャンブル的に放り込まれたというのが実情ではないかと考えている。
 
 実感としては、いかにTグループといえども、企業ならどこにでもある問題を抱えているということだろう。
 
 昨日は昨日で、帰途に主任の下にいるHさんとオフィスビルから駅まで一緒に歩き、これからのことについていろいろ話した。
 彼も俺と同様、これからのことを危惧していた。
 そして彼が俺と同じ不安を持っていることに俺は少しでも安堵した。
 そして彼はモチベーションが高い。
 彼となんとか力を合わせて部署を元気にしていくしかない。
 できればK係長には、別部署の人間と交代してほしいのが本音。
 国内データベースで手順が確立しているS作部の人間なんかいいなと思うw

 とにかく、条件のよさはもう十分理解した。
 しかし、当初抱いていた不安は消えずただいろいろと変化しつつある。
 より具体化しつつ、そして実務レベルでの不安になりつつある。
 そしてその不安を解決するために、自分自身がどれだけ尽力できるのかというところで考える。
 俺にあとどれだけの可能性があるのだろう。
 31歳、今年で32歳を迎える俺に今以上にビジネスマンとしての能力が開花することはあるだろうか。
 でもこればかりは自分を信じるしかない。
 そして、自信を持つことができるようになるまで、自己研鑽に励み、自分をレベルアップさせるしかない。
 幸い、まだ俺自身、息切れしている感じはしない。

 昔、「ドラゴンボール」という漫画の中で、サイヤ人は死に掛けるまでダメージを受けてから復活すると、力がアップしているという内容があった。
 俺も死のふちを見た人間だ。
 俺自身のどん底での経験が、これからの俺をレベルアップさせてくれるものと信じたい。