Sushiを愛している。

 昼飯にマクドナルドへ入った時のこと。

  I'm lovin' it 

 という言葉が目に入った。
 現在マクドナルドのキャッチコピーのようである。
 好きなビッグマックにかぶりつきながら、この言葉をどう訳すのかと考えていてふと思い出したことがあった。
  
 学生時代によく読んでいた某自転車雑誌の記事で、ある寿司好きの外国人選手のエピソードが紹介されていた。
 1990年の宇都宮で行われた世界選手権にアンディ・ハンプステン(USA)が来日した時の話だったかもしれない。
 別の外国人選手が、その寿司好きの選手のことについて「あいつはスシを愛している」とコメントしたことが書かれていた。(こっちはスティーブ・バウアーだったかも)
 その時その記事を読んだ俺は、「寿司を愛している」という表現について、単に寿司が好きだということを、知り合いの選手が少し皮肉混じりに面白おかしく話したか、または本当にその選手は寿司が大好物なのだろうなくらいに思っていた。

 しかしである。
 この"love"いう単語、

 I love youのように、人が人を愛するという意味合いに使われることが多いように思われがちであるが、映画やネイティブのインタビューなどを見ていると、その対象を人間に限らず、結構普通にさりげなく使われていることも多い。likeより強めの「好きである」「気に入っている」というような意味合いである。

  
  I love it.「(それを)気にいってるよ」
  I love the game.「試合を楽しみにしている」

  
 ただ、日本人が直訳すると「愛している」になってしまう。
 あの自転車雑誌の選手のコメントが、
  
  "He loves Sushi."
 
 であったのかどうかはわからない。
 しかし、インタビューの答えとして面白くオーバーぎみな表現をしたのではなく、単に「彼は寿司が気に入っているみたいだよ」くらいの言葉だったのかもしれない。

  
 LOVEという単語に特別な意味を捉えがちな日本人が、あっさり直訳してしまったように思えなくもないのである。